仕事を受注することが出来るかどうかは積算担当者である あなた に掛かっています。
とは言え、人間たるものミスはつきもの。
私の実際の経験から、積算の初心者がやってしまう失敗の事例についてご紹介します。
これが出来れば、初心者から一歩 脱出です。
適用日を間違ってしまう
土木の設計書では、書式が発注機関によって異なりますが、絶対に記載されている項目があります。
それが適用日です。
適用日というのは、変動する以下の単価について、その日の単価で積算を実施しなさい、というものです。
- 軽油、ガソリン
- 建設機械の賃料
- 各種資材の単価
- 労務費
- 産業廃棄物の処理単価
その他にもありますが、これらの単価は変動します。
一番良い例が軽油・ガソリンです。
建設機械を動かすのに絶対に欠かすことのできない燃料ですが、ここ最近価格が高騰したままですよね?
最近は高止まりしていますが、新型コロナ感染症が流行した当初は逆に価格が下がったくらいです。
日々価格が変わるものであるため、適用日を用いて「この工事では単価をいくらで設計しています」と明示しているのです。
適用日の価格が反映されておらず金額が合わなかった
私が実際にやってしまった間違いです。
積算を実施する際、ほとんどの方が専用のソフトウェアを利用されていると思います。
GaiaやATLUSなどですね。
積算ソフトは常時アップデートをしていますが、適用日が変更された際、直ぐに単価に反映されないのです。
過去に10月の上旬に公告された工事の適用日が10月1日でした。
数日で適用日が変更されたのですが、その際、軽油・ガソリンの単価の変更が積算ソフトに反映されておらず、価格が合わなかったのです。
適用日とその時の単価は、各都道府県で公表されています。
積算ソフトは公表された価格を集計し、反映させるのですが、時間がかかることがあります。
私のミスは、適用日が新しいにも関わらず、3か月前の軽油・ガソリン単価で積算してしまい、金額が合いませんでした。
対応の方法
このような事例については、以下の対応方法があります。
- 都道府県公表の単価を自分で確認する
- 積算ソフトのサポートに確認する
都道府県公表の単価を自分で確認する
公表単価を自分で確認するですが、公表なので、誰でも見ることが出来ます。
ただし、実際に積算を実施する地区以外も記載されていますので、該当する項目を探すのは大変ではあります。
積算ソフトのサポートに確認する
積算ソフトでもデータ配布の準備をしていますので、いつ配布になるか確認し、更新データ配布後に積算を実施します。
入札日によってはデータ配布の方が遅い場合もあります。
この場合では手入力で単価を変更することになりますが、方法については各積算ソフトのサポートに確認をお願いします。
私も実際に入札日までに、ガソリン・軽油単価の変更が間に合わなかったので、手入力で変更した工事もあります。
歩掛の条件の見落とし
積算ソフトを使った積算では、施工パッケージなどの歩掛の条件を選択していくことになります。
歩掛とは、ひとつの作業を行うのに、作業ごとにかかる手間を数値化したものです。
https://www.land-k.jp/reports/beginner25.html
実際にとある工事の掘削について説明します。
これは積算の際に使用する金抜きの設計書です。
掘削は施工パッケージですので、積算では単価と構成比から1m3当たりの作業単価を算出することになります。
この単価と構成比は下に記載してある条件を積算ソフトに入力し算出します。
ここで選択する条件は5つです。
- 土砂
- オープンカット
- 押土無し
- 障害無し
- 5,000m3未満
この条件の選択を間違えると、当然ですが金額が合いません。
掘削の場合、条件を選択することで設計書に記載されている3つの項目の構成比が決定します。
- バックホウ
- 運転手(特殊)
- 軽油
広い場所で作業する場合と狭い場所で作業する場合では、作業にかかる時間が違うのが当然で、条件によって構成比は異なります。
私が間違えたのは、構造物とりこわし工での積算です。
ここでの条件は4つです。
- 昼間施工
- 機械施工
- 低騒音・低振動対策
- 時間的制約なし
私は 低騒音・低振動対策 を見落とし、「対策なし」を選択しました。
この歩掛は先程の掘削とは異なり、市場単価と呼ばれるものです。
低騒音・低振動対策 以外の3項目を選択することで、1行目の
「昼間_無筋構造物【手間のみ】 機械施工 時間的制約なし」
が選択されます。
低騒音・低振動対策を選択することで、選択された1行目の単価に1.2を乗算する補正をかけます。
確認した際に、1.2の乗算された単価であるかの見落としが原因です。
対応の方法
積算ソフトによって確認方法は異なりますが、基本的には条件が正しく選択されているか、の確認になります。
物価本参照単価の選択間違い
積算においては、物価本と呼ばれる3つの本から材料・施工単価を選択する項目もあります。
3つの本とは以下です。
- 建設物価
- 土木コスト情報
- 積算資料
建設物価はさらに本とネットのみで参照する「Web建設物価」があります。
下記がその例です。
「鏡体撤去」、「支柱・基礎設置」の2項目の単価を土木コスト情報から決定するものです。
この物価本、本屋でもインターネットでも購入可能ですが、割とよいお値段です。
そして下記の発行スケジュールです。
- 建設物価 -- 毎月
- 土木コスト情報 -- 季刊(年4回)
- 積算資料 -- 季刊(年4回)
それなのに実際の資材・施工の単価はそんなに変動するのか? と言われると、実は変動しません。
そして積算ソフトにこの3冊の単価は全部登録されています。
何が問題かというと、以下の3つの名称の記載が微妙に異なることです。
- 設計書
- 物価本
- 積算ソフト
そのため、設計書に記載されている情報を確認する必要があります。
ここでは先程例にした「支柱・基礎設置」の価格の確認のポイントを解説します。
- 土木コスト情報 2022年1月号 P527に記載されている
- 下地亜鉛メッキ と 静電粉体塗装 の支柱設置である
- 支柱のサイズは φ76.3×3.2×4000 である
この3項目でどの単価を選択すればいいか、決まると思ったら、落とし穴が1つありました。
私が使用している積算ソフトでは、さらに「時間的制約なし」「時間的制約を受ける」の2つの選択があったのです。
時間的制約を受けるかは、工事全体の話でもありますので、他の積算項目で制約が無いのであれば、「時間的制約なし」を選択します。
今回例に挙げた工事では私は間違えませんでしたが、他の工事で数回失敗しています。
対応の方法
この場合の対応方法は以下の通りです。
- 図面・数量計算書を確認する
- 他人に相談する
- 発注者に質問する
図面・数量計算書を確認する
設計図書は積算で使用する設計書・積算条件書のみならず、図面や数量計算書もあります。
そちらの資料に単価を決定する事項が記載されていることもあります。
積算の際には図面や数量計算書に目を通しておくと、単価選択のヒントになります。
他人に相談する
迷ったら、素直に他人に相談します。
当然ながら、見方・考え方が違うからです。
それは発注者も同じです。
発注者に質問する
「他人に相談する」にも書きましたが、発注者の見方・考え方も当然、自分とは異なります。
特に積算の場合、自分の見方・考え方ではなく、発注者の見方・考え方、工事の設計の意図が大切です。
その為に質問が出来ますので、素直に質問しましょう。
質問は期間が設定されていますので、必ず期間内に決められた方法、FAXで送付等、で質問を実施して下さい。
支給品の見落とし
設計書で支給品が記載されているのに、積算ソフトで設計書を読み込むと、支給品行が消えてしまい間違ったミスです。
このマンホールのふたですが、支給品です。
支給品とは何かと言うと、発注者から支給される材料です。
https://www.land-k.jp/reports/beginner12.html
価格は0円ですが管理は必要ですので、共通仮設費等の間接費はかかります。
私は積算ソフトで設計書を取り込んで積算を実行していたのですが、「支給品データ」の1行が消えてしまい、単純にマンホールふたの費用を計上してしまいました。
対応の方法
この場合の対応方法は以下の通りです。
- 特記仕様書、施工条件書を確認する
- 設計書と読み込んだ設計書について、確認を徹底する
- 不明な行・項目等については質問する
特記仕様書、施工条件書を確認する
積算の際に参考にする特記仕様書、施工条件書等に支給品について記載がある場合がありますので、必ず確認をします。
設計書と読み込んだ設計書について、確認を徹底する
取り込みの際に消えてしまう行があることを理解した上で、配布された設計書との比較確認を徹底します。
不明な行・項目等については質問する
自分が疑問に思う行、項目、歩掛などは質問期間内に質問を実施します。
まとめ
以上、私が間違えた積算の内容についてでした。
積算については、1にチェック、2にチェック、3もチェック...という感じでとにかく確認が必要だと思います。
それと数をこなして経験を積む必要もあると思います。
また発注者の傾向等も考慮できるとは思います。
私もまだまだ積算については、経験が必要だと思っており、まだまだ頑張りたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。